研究活動

RESEARCH ACTIVITIES

PROJECT

2018年大阪府北部地震

画像のキャプション(上画像・下キャプションの場合)

大阪府北部地震にともなう地震活動を対象に,相対走時差データに基づく震源再決定・テンプレートマッチング解析・背景地震活動解析を行った.その結果,本震の滑り破壊は,北北西‐南南東走向の東側に約45度で傾斜する断層面と,東北東‐西南西走向の高角傾斜の断層面の2枚で発生したことが示された.最初に,東側傾斜の断層面で逆断層運動が生じ,約0.3秒後に高角傾斜の断層面で横ずれ運動が開始し,その後は同時に断層運動が起きていたと考えられる.これらの断層面と上町断層帯の深部延長との詳細な関係は不明ではあるが,大阪府北部地震が上町断層帯などの東側傾斜の逆断層に与える応力変化を計算したところ,断層運動を促進する方向に約0.1 MPaの応力変化を引き起こしたことがわかった.また,震源域の北部延長では,地震活動が遅れて活発化しており,その領域の背景地震活動度は時間とともに徐々に増加する傾向を示した.このことは,本震によって震源域の北部延長(地殻内)で非地震的な変形が引き起こされた結果だと解釈される.本研究により,水平圧縮応力場が卓越する近畿圏においては,逆断層と横ずれ断層が同時に活動することで1つの地震になる場合があることが明示された.つまり,逆断層と横ずれ断層の活断層が共存する近畿圏では,地震ハザード評価において両断層の連鎖的破壊を考慮することが重要である.地震本部が実施している現状の長期評価においてこの点は含まれておらず,少なくとも近畿圏においては逆断層と横ずれ断層の活断層の連鎖的破壊を考慮することが今後必要である.

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