研究活動

RESEARCH ACTIVITIES

PROJECT

地殻変動

画像のキャプション(上画像・下キャプションの場合)

(1) スロースリップイベントに関する研究

房総半島沖では,群発地震活動を伴うMw 6.6-6.7のスロースリップイベント(SSE)が数年間隔で繰り返し発生してきた.これらのSSEのメカニズムの理解に向けて,千葉県の太平洋沿岸で2011年以来,GNSS連続観測を実施してきた.このデータと国土地理院GEONETのGNSSデータに改良型のNetwork Inversion Filter手法を適用し,1996年から2014年に発生した5個のSSEのすべりの時空間変化を推定した.その結果,各SSEの初期段階の加速過程,最大すべり速度,すべりの伝播方向や伝播速度などの時間発展様式がイベント毎に異なることが分かった.また,1996年のSSEに対する推定結果を速度・状態依存摩擦構成則を用いてモデル化し,すべり速度の時空間変化が条件付安定の摩擦特性で良く説明できることを明らかにした.

SSEの発生とプレート境界の固着の関係を明らかにするために,1994年から2011年東北沖地震の発生前までの房総半島周辺のGNSSデータを用いてSSE間の地殻変動を検討した.その結果,変位速度がSSEの発生前後で変化したことが明らかになった.今後,変位速度の変化のメカニズムについて検討を行う.

地震研究所が東海地方で行ってきたGNSS連続観測で得られたデータ及びGEONETのGNSSデータに改良型のNetwork Inversion Filter手法を適用し,東海地方でのプレート境界で2013年以降に発生した長期及び短期SSEのすべりの時空間発展を明らかにした.この研究は京都大学との共同研究として行った.

GEONET及び京都大学のGNSSデータに改良型のNetwork Inversion Filter手法を適用し,八重山諸島周辺のプレート境界で2010年から2013年に発生した5個のSSEのすべりの時空間変化を推定した.最終的なすべり分布は5個のSSEでほとんど同じであるが,時間発展過程はイベント毎に異なることが明らかになった.この研究は東北大学・京都大学との共同研究として行った.

(2) 巨大地震の余効変動に関する研究

2011年東北沖地震の余効変動のメカニズムの理解に向けて,摩擦構成則に従う余効すべりとマントルの粘弾性応力緩和を組み合わせた余効変動の物理モデルを構築した.地殻変動観測データを説明できるモデルを構築するために,地震時の地殻変動と余効変動の時系列データを用いて,地震時のすべり分布,プレート境界面上の摩擦パラメータ,及びマントルの粘性率を同時推定する手法の開発を進めている.これらのモデルパラメータを系統的に探索した結果,地震後7年間の水平・上下変動の時空間パターンを説明できるパラメータを推定することができた.

RETURN TO THE TOP