研究活動

RESEARCH ACTIVITIES

PROJECT

ひずみ集中帯の重点的観測・研究

2004 年中越地震・2007 年中越沖地震など、東北日本の日本海側で多発した被害地震を受けて、平成20 年度から5 カ年の予定で開始したプロジェクトである。このプロジェクトでは東北日本の日本海側および日本海東縁部のひずみ集中帯、震源断層モデルを構築やひずみ集中のメカニズムの解明を目的としている。防災科学技術研究所を中心となり、地震研究所では反射法・屈折法による地殻構造探査、海底地震観測、MT 法による電磁気探査、歴史地震などの研究を実施している。地殻構造探査では、新潟地域の地殻構造や震源断層の形状を明らかにするために、長大測線での海陸統合地震探査を実施してきた。

2011年は新潟地域での4番目の測線として、六日町-直江津を横切る約70km の区間で海陸統合地殻構造探査を行い、地殻上部の詳細な速度構造と断層・褶曲構造が明らかになった。基本的には日本海拡大時のリフト形成期の正断層が再活動して、震源断層となり、リフトを充填した堆積物が反転テクトニクスによって褶曲-断層帯を形成している実態が明らかになった。海底地震観測では、2010年に新潟県岩船郡粟島浦村(粟島) の南方海域に、地震研究所が開発したケーブル式海底地震観測システムを設置し、自然地震の海域リアルタイム観測を開始した。2011年も観測を継続し、良好なデータが蓄積されている。電磁気探査では、東北地方背弧のひずみ集中と地殻内流体分布との関連性を調べる ため、2010年までに取得した庄内-新庄・山形盆地周辺部、村上-相馬測線でのMTデータの解析を行うと共に、村上-相馬測線上の2地点においてMT 補充観測を実施した。庄内-新庄・山形盆地北部においては、庄内平野東部活断層帯に伴う構造の食い違いや、その東側の出羽丘陵でインヴァージョンテクトニクスを支持する活褶曲構造、さらにその深部に断層から延長する低比抵抗帯がイメージされ、南部においては、同じく月山直下から東に傾いた低比抵抗帯がイメージされた。さらにその南に位置する村上-相馬測線では、背孤部、脊梁部、前弧阿武隈山地下に低比抵抗帯が決定され、地下深部からの水の供給を示唆した。さらに、ひずみが集中する火山地域での流体の分布や移動を明らかにするため、2009 年から2011 年にかけて、富士、霧島、伊豆大島においてMT 構造探査を実施し、霧島、桜島において広帯域MT 連続観測、三宅島において自然電位マッピングを実施した。

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