首都直下地震防災・減災特別プロジェクト

首都直下地震防災・減災特別プロジェクト

文部科学省委託研究「首都圏周辺でのプレート構造調査、震源断層モデル等の構築等(H19-H23)」の最終年度である。本プロジェクト推進室が地震予知研究センター内におかれ、4 名の特任研究員(http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/shuto/researcher.html) と、専任の学術支援員・事務補佐員が研究・研究支援を行っている。本年度は、首都圏に中感度地震観測網の観測装置が引き続き展開され、自然地震観測を行った。この観測網からのデータを用いた研究成果が、制御震源による構造探査、歴史地震等の研究、震源断層モデル等の研究の成果と統合された。

平成23年は、フィリピン海プレート等の構造を調査するための中感度地震観測点47箇所が関東地域に設置され、これまでに設置された249観測点とあわせて自然地震の観測を行っている。その結果、これまでに収集・整理されたデータを既存観測点のデータと併せ、震源決定法・地震波トモグラフィ法・地震波干渉解析法等の手法を用いて、震源分布や地震波速度と非弾性常数の三次元的分布、首都圏下のプレート境界面の形状やプレート内における弱面の存在を把握した。特に、フィリピン海プレート上面は、これまでの広く知られていたモデルより約10kmも浅いことが明らかになり、首都圏における地震動を考える上で重要な知見が得られた。

この他、平成22年度の霞ヶ浦-つくば測線とつくば-水戸測線で取得した稠密自然地震観測データを地震波トモグラフィ法・地震波干渉解析法・レシーバ関数解析法により解析し、首都圏の地殻とフィリピン海プレートの詳細な構造(地殻の速度構造や不連続面の形状等)を明らかにした。平成20年・21年に関東山地周辺で取得した制御震源による構造探査データと、稠密自然地震観測データについて協調的な統合解析を行い、首都圏の地殻とその下に沈み込むフィリピン海スラブの詳細な構造を明らかにした。大都市大震災軽減化特別プロジェクトで取得した大深度地殻構造探査データを含めて、首都圏の地殻・プレート構造データを検討し、構造的な弱面を抽出した。

また、本センター内外および、地震研究所外の研究者との共同で、歴史地震等の記録の収集・整理・再評価を行い、首都圏で発生する大地震の発生時系列を明らかにするとともに、首都圏で発生する地震の震源断層モデル・地下構造等のモデルを高度化して、南関東で発生するM7 程度の地震をはじめとする首都直下地震の姿の詳細を明らかにし、首都直下地震の長期予測の精度向上や、高精度な強震動予測につなげる。

これまでの重要な成果の一つは、人為的なノイズの高い測定環境での中感度地震観測について効率的なシステムが開発され、小中高等学校等の協力を得て稠密都市観測が可能であることが具体化したことであろう。古文書等の調査で得られた震度分布と現在の地震観測網から得られた地震動の振幅分布とを比較することにより、首都直下における過去の大地震の地震像が明らかになりつつある。本プロジェクトの進捗状況と研究の成果は、随時プロジェクトホームページ(http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/shuto/) に掲載されている。

ページの先頭へ戻る